Archive for the 'ヒトiPS細胞' Category

Published by osato on 14 6月 2012

凍結ヒトiPS細胞の解凍の手順

JCRB細胞バンク:古江-楠田美保
Last update: 2009.Apr.2.
印刷用

準備するもの

  1. 液体窒素
  2. 25cm²フラスコ:Corning #430639(注1)
  3. 0.1%ゼラチン溶液:ミリポアEmbryomax #ES-006-B
  4. MEF用培地
  5. ヒトiPS細胞用培地
  6. ヒトリコンビナントFGF-2:Sigma F0291
  7. 15ml用遠心チューブ
  8. 50ml用遠心チューブ
  9. 37℃ウォーターバス
  10. マイトマイシンC処理済みC57/BL6 mouse embryonic fibroblast(MEF)
    (液体窒素保存)(注2)
  11. ヒトiPS細胞凍結バイアル(液体窒素保存)

 

解凍準備

  1. 25cm²フラスコに0.1%ゼラチン溶液を3mlずつ入れる.
  2. 37℃インキュベーターに30分静置 (室温の場合、2時間以上).
  3. MEF用培地を作成(注3).
  4. ゼラチン液を吸引.PBSにて洗浄.各フラスコにMEF用培地を4mlずつ入れる.
  5. 15mlチューブにMEF培地を9ml入れる.
  6. 液体窒素に入れたまま凍結MEFバイアルをクリーンベンチ近くに持ってくる.
  7. バイアルの蓋をクリーンベンチ内で開けてバイアルのN2を抜く.
  8. 37℃ウォーターバスに入れ、半分ぐらい溶解状態でクリーンベンチ内へ移動し、MEF培地でピペッティングしながらすばやく溶解.
  9. MEF浮遊液を15mlチューブに入れる.
  10. 1000rpm で3分間遠心
  11. 新しいMEF用培地にMEFを浮遊させる.
  12. MEF細胞浮遊液を1mlずつ各フラスコに入れる.
  13. MEFをCO2インキュベーターに入れて、24時間培養.
  14. MEF用培地からES用培地(FGF-2なし)に交換し、24時間培養(注4)

 

細胞解凍

  1. ヒトiPS用培地16mlを50ml用遠心管に分取する。
  2. そのうち、ヒトiPS用培地9mlを15ml用遠心管に入れ、37℃ウォーターバスで暖めておく.
  3. 残りの7mlヒトiPS用培地にFGF-2 (10ng/ml)を添加して、クリーンベンチ内に置く.
  4. 液体窒素に入れたまま凍結ヒトiPS細胞のバイアルをクリーンベンチ近くに持ってくる.
  5. 37℃ウォーターバスで暖めてある15ml用遠心管に入ったヒトiPS用培地をクリーンベンチに持ってくる.
  6. ピンセットで凍結バイアルを液体窒素から取り出し、クリーンベンチ内に入れて蓋を開け、暖かい培地を入れてピペッティングを行って、素早く解凍させる.
  7. 解凍させた細胞をすばやく15ml用遠心管に回収する.
  8. 700rpm (90xg)にて遠心する.
  9. MEF浮遊液を15mlチューブに入れる.
  10. 上清を吸引.
  11. FGF-2の入ったヒトiPS用培地7mlを加える.
  12. MEFが播種してあるフラスコの培地を吸引.
  13. ヒトiPS細胞浮遊液7mlをフラスコ1つに播種.
  14. 顕微鏡でコロニーの分散状態を確認.
  15. CO²インキュベーターに入れて培養(24時間).
  16. 細胞観察(できるだけ揺らさないようにする)(注5).
  17. CO²インキュベーターに入れて培養(24時間).

 

培地交換

  1. 培地交換に必要なヒトiPS用培地をチューブに分取し、FGF-2を入れる.
  2. 37℃ウォーターバスで培地を温める(注6)
  3. 細胞の状態を顕微鏡でチェック.
  4. 温めた培地を取り出す.
  5. フラスコの培地を吸引.
  6. 温めた培地を入れる.
  7. 細胞の状態をチェック.
  8. CO²インキュベーターに入れて、培養.
  9. 基本的に毎日培地交換を行う(注7)

 

  1. メーカーによって細胞の生着率や継代時のディスパーゼの処理時間なども変わってくる.BD、スミロンは、Corningとほぼ同等.
  2. 成育医療センター樹立iPS細胞は、C57/BL6マウスのMEFを使用して樹立されている.市販のものでは、マイトマイシンC処理済みHygro Resistant Strain C57/BL6(ミリポア)が使用可能であることを確認している.MEFバイアル1本を30枚の25cm²フラスコに播種している.ただし、ロット差があるため、新しいロットの際には、密度を変えて播種してチェックする必要がある.
  3. high glucose, L-gluthamine、10%牛胎児血清(ESグレード)含有DMEM
  4. MEFは播種してから24時間後では十分に広がっていないため、2日後以降に使用する方が望ましい.継代する前に、事前にヒトES用培地に交換をしておき、MEFをヒトES培地になじませておくとよい.
  5. 生着には時間がかかる場合もあるので、48時間はできるだけ静置しておくのが望ましい.そのため培地を7mlにしている.
  6. ヒトiPS細胞培地は、必要以上に37℃ウォーターバスに放置しないこと.
  7. 平日は毎日培地交換を行うが、週末は土曜日か日曜日のどちらか1回のみにしている.ただし、その場合、コンフルエントでない状態にしておく必要がある.

cell@nibiohn.go.jp

Published by osato on 14 6月 2012

ヒトiPS細胞の継代の手順

JCRB細胞バンク:古江-楠田美保
Last update: 2009.Apr.2.
印刷用

準備するもの

  • 液体窒素
  • 25cm²フラスコ:Corning #430639(注1)
  • 0.1%ゼラチン溶液:ミリポアEmbryomax #ES-006-B
  • MEF用培地
  • ヒトiPS細胞用培地
  • ヒトリコンビナントFGF-2:Sigma F0291
  • 15ml用遠心チューブ
  • 50ml用遠心チューブ
  • 37℃ウォーターバス
  • マイトマイシンC処理済みC57/BL6 mouse embryonic fibroblast(MEF)(液体窒素保存)(注2)

 

準備

  1. 25cm²フラスコに0.1%ゼラチン溶液を2mlずつ入れる.
  2. 37℃インキュベーターに30分静置 (室温の場合、2時間以上).
  3. MEF用培地を作成(注3).
  4. ゼラチン液を吸引.PBSにて洗浄.各フラスコにMEF用培地を4mlずつ入れ る.
  5. 15mlチューブにMEF培地を9ml入れる.
  6. 液体窒素に入れたまま凍結MEFバイアルをクリーンベンチ近くに持ってくる.
  7. バイアルの蓋をクリーンベンチ内で開けてバイアルのN2を抜く.
  8. 37℃ウォーターバスに入れ、半分ぐらい溶解状態でクリーンベンチ内へ移動し、MEF培地でピペッティングしながらすばやく溶解.
  9. MEF浮遊液を15mlチューブに入れる.
  10. 1000rpm で3分間遠心
  11. 新しいMEF用培地にMEFを浮遊させる.
  12. MEF細胞浮遊液を1mlずつ各フラスコに入れる.
  13. MEFをCO2インキュベーターに入れて、24時間培養.
  14. MEF用培地からES用培地(FGF-2なし)に交換し、24時間培養(注4)

 

細胞継代

  1. 培地を吸引する。
  2. 1unit/ml Dispase (Roche/ 解凍後3日以内に使用)を1ml入れる(注5)
  3. 3~10分間(注6)、37℃・CO2インキュベー ターに入れてインキュベーション.
  4. Dispaseを吸引.
  5. ヒトiPS細胞用培地10mlを入れて、10mlピペットをつけたピペットエイ ド(強にする)で培地を吹きかけるようにしてコロニーをはがす(できるだけ回数を少なくする。2回程度のピペッティングでコロニーがはがれないような場合は、セルスクレーパーを使用してコロニーをはがす).
  6. 顕微鏡でコロニーの分散状態を確認する.
  7. 15mlチューブに細胞浮遊液を入れて、2分間、300rpm にて遠心(大きいコロニーのみを回収する).
  8. 新しいヒトiPS細胞用培地を入れて細胞浮遊液とする(ピペッティングはしない).
  9. MEFの培地を吸引.
  10. 各フラスコに細胞浮遊液を入れる (Splitの割合は株による).
  11. 顕微鏡でコロニーの分散状態を確認.
  12. 24時間、CO2インキュベーターに入れて培養.

 

培地交換

  1. 接着率が悪い株の場合、翌日の培地交換は行わない場合もある.
  2. 培地交換に必要なヒトiPS用培地をチューブに分取し、FGF-2を入れる.
  3. 37℃ウォーターバスで培地を温める(注6)
  4. 細胞の状態を顕微鏡でチェック.
  5. 温めた培地を取り出す.
  6. フラスコの培地を吸引.
  7. 温めた培地を入れる.
  8. 細胞の状態をチェック.
  9. CO²インキュベーターに入れて、培養.
  10. 基本的に毎日培地交換を行う(注7)

 

  1. メーカーによって細胞の生着率や継代時のディスパーゼの処理時間な ども変わってくる.BD、スミロンは、Corningとほぼ同等.
  2. 成育医療センター樹立iPS細胞は、C57/BL6マウスのMEFを使用して樹立されている.市販のものでは、マイトマイシンC処理済みHygro Resistant Strain C57/BL6(ミリポア)が使用可能であることを確認している.MEFバイアル1本を30枚の25cm²フラスコに播種している.ただし、ロット差があるため、新しいロットの際には、密度を変えて播種してチェックする必要がある.
  3. high glucose, L-gluthamine、10%牛胎児血清(ESグレード)含有DMEM
  4. MEFは播種してから24時間後では十分に広がっていないため、2日後以降に使用する方が望ましい.継代する前に、事前にヒトES用培地に交換をしておき、MEFをヒトES培地になじませておくとよい.
  5. Dispaseの活性は解凍後3日以後急激に低下する.細胞分散の処理時間を一定にするためには、要時解凍して使用するのが望ましい.また、提示されている酵素活性が同様であっても、会社によって微妙にその活性は異なる.当細胞バンクではRoch・Dispase 1unit/mlで使用できることは確認している.MEFのロットによって、Dispase 1unit/mlx1mlでは、細胞がはがれてこない場合もあり、その場合には2mlに増やして時間は10分以上は作用させないようにする.
  6. Dispaseに対する感受性は株によって異なる.新しいロットのDispaseあるいは新しい細胞株の場合には、まず、3分37℃で処理して顕微鏡でコロニーの状態を確認する。ES、iPS細胞のコロニーのエッジが光って、少しだけ丸くカールしていたら、すぐにDispaseを除く。コロニーが巻きあがるようにカールしている場合には処理時間が長すぎる.その場合、簡単に揺らしただけでコロニーがはがれてしまう可能性があるため、Dispaseは吸引せずに、培地を加えて遠心してディスパーゼを除く.2~3回培地で洗った方が生着率が良い.
  7. 平日は毎日培地交換を行うが、週末は土曜日か日曜日のどちらか1回のみにしている.ただし、その場合、コンフルエントでない状態にしておく必要がある.

cellbank@nihs.go.jp

Published by osato on 14 6月 2012

凍結ヒトiPS細胞の凍結の手順

JCRB細胞バンク:古江-楠田美保
Last update: 2009.Apr.2.
印刷用

準備するもの

  • ヒトiPS細胞用培地
  • Dimethyl sulfoxide (DMSO Hybri-MaxTM):Sigma D2650
  • 超低温細胞保存用チューブ(Nalgene CryowareTM):NALGENE 5000-0020
  • ディスパーゼ(Roche Dispase II, neutral protease, grade II):Roceh 04942078001
  • 15ml用遠心チューブ
  • 50ml用遠心チューブ
  • 緩慢冷却容器
    Nalgen Cryo1℃Freezing Container, #5100-0001、あるいは、
    日本フリーザー 凍結処理容器バイセル

 

凍結準備

  1. 必要な量のヒトiPS細胞用培地を50ml用遠心管に入れる.
  2. 凍結用に使用するヒトiPS細胞用培地を適量とって50mlチューブに入れ、FGF-2を必要量添加して、氷中にて冷却する.
  3. 十分冷却したら、DMSOを最終濃度10%になるように添加し、直ちに氷中にて冷却する.

 

細胞分散

  1. 培地を吸引.
  2. 1unit/ml ディスパーゼ(解凍後3日以内に使用)を1ml入れる.
  3. 3~10分間、37℃・CO²インキュベーターに入れてインキュベーション.
  4. ディスパーゼを吸引.
  5. ヒトiPS細胞用培地10mlを入れて、10mlピペットでピペットエイドを強にして培地を吹きかけるようにしてコロニーをはがす(できるだけ回数を少なくする.2~3回程度のピペッティングでコロニーがはがれないような場合は、セルスクレーパーを使用してコロニーをはがす).
  6. 顕微鏡でコロニーの分散状態を確認する.
  7. 15mlチューブに細胞浮遊液を入れて、300rpm (20G)にて2分間遠心(大きいコロニーのみを回収する).
  8. 十分冷却した凍結培地を入れて、すぐに氷中におき、5分間静置する.
  9. 冷却している間に、超低温細胞保存チューブに、ラベルする.

 

細胞凍結

  1. 超低温細胞保存用チューブに0.5mlずつに分け、蓋を閉めたら、すぐに氷中におき、15分間静置する.
  2. 4℃に冷却しておいた緩慢冷却容器などに入れて、マイナス80℃ディープフリーザーに入れる(一晩).
  3. 翌日、液体窒素タンクに保存する.

 

ポイント

培地にDMSOを入れる際には、十分培地を冷却してからDMSOを添加し、添加後後すぐに氷中に入れて冷却する。また、細胞をDMSO含有凍結培地に入れた際も、すぐに超低温細胞保存チューブに入れず、先に氷中に入れて十分冷却してから、超低温細胞保存チューブに分注する。

cell@nibiohn.go.jp